音声通話をMVNOで使う その4 携帯番号をそのまま使えるプレフィックス電話の仕組み

ここまで紹介してきた音声通話の方法は、電話回線でない普通のインターネット回線を使用することでそこに音声データをのせてやり取りするIP電話でしたが、今回紹介するのはそうではありません。その話をする前にちょっと昔の話や本筋から外れる話をすることをお許し下さい。昔は通信事業はNTTに独占されていましたが、独自に引かれた電話用の専用線を使った新しい電話会社が続々が参入してきたのはご存知の通りです。

携帯電話においても最初はNTTドコモだけだったのが、現在ではauとソフトバンクモバイルが事業者となり、090番号をはじめとした携帯電話に割リ振られた番号で音声通話が安定してできるようになっています。

この文章を書いている2016年3月現在、ドコモおよびauの回線を使って通信サービスを提供するMVNOが出してきている音声通話プランではその通話料はほとんど30秒20円となっています。既に携帯大手3社では5分定額や24時間定額というプランがあり、まだまだ音声通話を主に使いたいと思っている人には携帯大手3社との契約が欠かせないということに現状ではなっています。

そんな中、MVNOの中でも一つ異色なのが、携帯大手3社と同じ2年縛りながら、無料通話の付いた音声通話プランを提供する「UQ mobile」の「ぴったりプラン」です。新規かauおよびau系MVNOからの転入以外で契約すると、スマートフォン本体の価格も入って月額2,980円(税抜)からという低価格で、データ通信は高速クーポン1GBですが、音声通話の無料通話分は月間1,200円分使えるようになっています。

こうしたことができるのは、「UQ mobile」という会社がau直系の企業であるからと言えるかも知れませんが、データも通話もそんなに使わないという事ならこうした形で新たにスマホを契約して2年使うというのもいいかも知れませんね。

ただ、こうした料金体系はあくまで例外なのであって、他のMVNOが通話サービスで他社と違うものを出すということになると、ちょっとした力技で通話を安く使えるようにする必要があります。ただ、これから紹介する方法というのは新しい方法ではなく、最初に書いたそれまでNTTが固定電話網を独占している状態で新電電が参入してきた時からあった方法です。

年配の方だったら「マイライン」という言葉を覚えている方もいるのではないかと思うのですが、NTTが民営化されるのと同時に、当時の新しい「電話会社」が営業を開始し、何とか独占状態に風穴を開けようと、自分達が引いた独自網を使って電話を掛けてもらうために行なったのが、固定電話の空いている所にシールを貼ってもらうのですが、そこには4~6ケタの番号が書いてあり、電話番号の前にその番号をダイヤルすることでNTT料金より安く電話ができる仕組みになっていました。また、こうした手間を省くために電話会社選択サービスの「マイライン」という仕組みを使い、NTT別会社を登録することで、固定電話から普通に電話を掛けてもNTTよりも安く電話が掛けられる(もちろん料金は別に請求されます)というものがありました。

この仕組みは、電話機から一番近くの独自網の入口まではNTT回線を使うものの、そこから相手先の手前までは独自網を使い、そこから相手の電話まではNTT回線を使うというものです。これだと新会社は回線の管理は独自網のところだけでいいので、膨大な家庭内の配線などに関わらなくて済みます。経費がかからない分料金も安くできるのでうまいサービスだと思えますが、問題が一つあります。ユーザーが電話番号の前に自社の番号を押してくれないと(または、「マイライン」に登録しないと)使ってもらえないということです。

新しい通信事業には知名度が不足していたこともあってか、NTTの回線をそのまま使う人も多く、さらにこうしたサービスは、世の中の流れが距離にともなって高額な電話料金がかかる固定電話から全国どこに掛けても同じ料金の携帯電話に人々が移行していく中で、あまり顧みられなくなってしまいました。

こうしたサービスは、携帯電話の時代にもありましたが、携帯電話でそうしたサービスを使うにはいちいち特定の番号を前につけて自分で電話番号を全て入力して発信するか、本体の設定で自動的に電話番号の前に特定の番号を付けることができる「プレフィックス機能」を搭載している電話機に登録して使うというなかなかめんどくさいものでした。さすがに携帯電話販売店で自分の通信事業を脅かすような設定の方法を聞くのもはばかられたでしょうし、一般的に広まるまでには行かなかったように思います。しかし、スマートフォンの時代になって状況は変わってきました。

というのも、まずはNTTから回線を借りて通信サービスを提供するMVNOが独自にこうしたサービスを推進することができるようになったのが大きいです。さらにスマートフォンではほとんどの機能がアプリによって実現していることもあって、電話サービスに特化したアプリを入れて使うだけで、電話番号の前に特定番号を付けて電話してくれるようになりました(つまり、ユーザーは専用の電話アプリをインストールして電話帳をコピーして使うだけでいい)。また、このサービスでは利用できないフリーダイヤルや3ケタの番号などへ掛ける時や、同じ携帯会社同士で無料通話が使えるので、その時だけはNTT網で掛けたい場合には特定番号を付けないで設定も簡単にできます。こうした詳しい内容について知らない人でも、専用のアプリを電話を掛ける時に使ってくれと言うだけで通話料がだいたい正規料金の半分になります。

MVNO各社はこうしたサービスに力を入れ、契約と同時にこのサービスに加入させ、専用のアプリから電話を掛けるだけで正規料金の半額で電話が使えるとアピールしています。次回はそうしたサービスの中でもお得に使えたり安くなるようなプランを提供しているMVNOについて具体的に見て行きます。


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